豊かな生活のための時間を生み出すロボット技術
2018年創業の(株)Genics(以下同社)、創業社長の栄田氏は未だ早稲田大学院先進理工学研究科博士後期課程の学生ながら、「(人が)面倒くさくて未だ自動化されていない作業を」見つけ出し、それらをロボットで便利にしようと考えました」(東京都中小企業振興公社機関紙ARGUS2023年1月号)とのことです。
その最初の製品がマウスピース型歯磨きデバイス、30秒で歯磨きを終えてくれるそうです。歯磨きが健康維持のためにいかに大切であるかは、多くの専門家により言い尽くされていますが、ついつい面倒で手を抜くことがある日常生活の一部です。栄田氏は、「面倒なことリスト」を作成して製品化するアイデアをいろいろ考えたそうですが、この歯磨きデバイスが第一号。様々な企業から注目され多くのメディアでも取り上げられているようです。
栄田氏は、ARGUS誌でコロンビア大学ビジネススクール教授シーナ・アイエンガ-著桜井裕子訳の「選択の科学」の一文をあげ「心に残っているのは『選択とは発明である』というフレーズ。いろいろな選択肢を組み合わせ新たなものを作るという発想は、勉強になりました」と語っています。
栄田氏の着想の面白さもさることながら、同社は、製品開発や製造に際して同社にはない技術やノウハウ、製造能力などを他社と協働・協創することの重要性を強く認識している点に強みがあるように思います。今後共、次々と面倒なことを片付けてくれる製品を世に出し続けて頂きたいと思います。(AS)
